次々世代メモリー量産 線幅30ナノ台コスト半減09年度ライン導入
東芝は二○○九年度半ばに次々世代の半導体メモリーを世界に先駆けて量産する。回路線幅を三十ナノ(ナノは十億分の一)メートル台に狭める微細加工技術を使い、製造コストを現行の半分以下に抑える。この技術で携帯電話などのデータ保存用に需要が伸びるフラッシュメモリーを生産。年一兆五千億円程度に達した同製品の世界市場でシェア首位を目指す。製造技術での日本の優位を生かし、世界の半導体市場で巻き返しを狙う動きが加速しそうだ。
フラッシュの世界シェアで二位の東芝は現在、線幅五十六ナノ技術で同製品を生産。今年十二月に三重県四日市市で本格稼働する新工場で来年三月から次世代の四十三ナノ技術での量産を始める。世界シェア首位の韓国サムスン電子は五十一ナノ技術を活用、この時点で東芝はサムスンに先攻する。その翌年に、さらにその次の世代となる三十ナノ台で量産に着手することにより、記憶容量や製造コストなど技術面でのリードを維持したい考えだ。
三十ナノのラインは四日市市の新工場内に設置する。要素技術等の研究開発にほぼメドがつき○九年度の実用化が可能と判断した。投資額は明らかにしていないが、○七年度からの三年間で半導体事業に一兆円を投じる現行の投資契約の範囲でまかなえるという。
東芝が最先端技術への移行を加速するのは、コスト競争力を高める狙い。
(2007年10月8日 日経新聞) |