yoonnet.comホーム > 会社概要 > 当社の取り組み(設備機器調査・劣化診断)/調査・診断の解説
改修の為には信頼できる調査が必要です。ここでは当社の調査診断の考え方やその方法などを詳しく解説しています。
一般に建築躯体の耐用年数は60年程度とされていますが、建築部位の一部や建築設備は劣化による耐用年数が短く、 ほとんどの機器、配管は15年から20年程度で一部補修や大規模な改修が必要になります。 改修はいく通りものやり方があり、いずれも一長一短ですが、まずは改修の為の信頼できる調査が必要です。
ここでは以下の項目について解説していきます。
(1)調査業者の選定 (2)診断報告書 (3)診断方法 (4)診断項目
( 1 ) 調査業者の選定 |
- うちの建物も、そろそろ傷んできているのだろうか?
- これから先、どんな改修が必要なんだろうか?
- 一度、専門家に調査診断した方がよいだろう?
...ということで、いざ診断をすることになったとき、果たしてどこへ依頼・発注すべきなのか?
そういったことに悩まれている方も、いらっしゃるのではないでしょうか。
一般的に次の中から選ぶことになるでしょう。
- 施工会社が行うもの(建設会社、設備会社)
- 管理会社が行うもの
- 設計会社、コンサルタントが行うもの
- 診断専門会社
建築設備劣化調査診断業者選定のポイントについて述べていきます
1. 施工会社が行うもの(建設会社、設備会社)
マンションを建てた建設会社にまず相談する、というケースは結構多いようです。特に自治管理されているところはその傾向にあるようです。この場合の利点は、何と言ってもマンションを熟知しているということでしょう。なにせ建てたのですから。 それと、竣工以来、良好なおつき合いが保たれている場合は、なおさらでしょう。
逆に欠点といえば、どうしても改修工事に目が向いて、診断結果を悪い方向に判断しがちだということでしょうか。 全部が全部そうではないと思いますが、やはりそう言った傾向は否めないと思います。
もうひとつは、調査を実施して施工に起因した異常が見つかった場合、それを隠ぺいしがちだと言うことです。 例えば、材料の選定をミスして錆びてボロボロになって漏水した給水管や、勾配が充分とれていないため流れが悪い排水管。
施工会社の依頼で何度も調査して、こういった現象を目の当たりにしましたが、やはりダイレクトに報告書に表現されることはありません。
では、「調査診断に施工会社を選定するメリットはないのか」とお思いでしょう。
すでに劣化が相当進行しているのが判っていて、更新なリ改修工事をすることが決まっている場合にはメリットがあるでしょう。 改修工事と抱き合わせなら診断費用が安く、場合によっては無料で済むこともあるからです。
それでは「悪いとわかっているのに、調査する必要があるのか」と思われるでしょうが、こういったケースは意外と多いのです。 分譲マンションの場合は賃貸や戸建てと違い、ひとりのオーナーの意志で改修が決められません。 多数の住民の賛同を得られなければ工事に進めません。 ということで、理事の方がその他の住民を納得させるため、 「ほら、こんなに悪いんですよ」という証拠としての調査が必要な場合があるのです。
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2. 管理会社が行うもの 管理会社に委託管理している場合は、この選択が自然だと思います。施工会社以上にマンションを熟知しているという利点もあります。 ただ、その後の改修工事も担当する場合は、施工会社と同様の意識が働くこともあるでしょう。
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3. 設計会社、コンサルタントが行うもの 利害関係のない第三者的な中立で公平な診断という観点を、重視あるいは強調したい場合はこうしたところに発注するのがベターです。 ただし設計会社にしろ、コンサルタントにしろ、工事受注金額の何%と言う形の報酬を請求するところであれば1、2と変わりません。 そして1、2、3のいずれにせよ、調査診断が業務の中心ではなく、調査診断はその後の改修工事を前提とした作業の1ステップである為、 どうしても改修工事はそれなりの内容、項目、規模、金額になってきます。
いずれにしても、実績のある信頼できる業者を選ぶべきことは、言うまでもありません。 もちろん、他にも金額的あるいは支払い条件で有利なのも考慮すべきでしょう。
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4. 診断専門会社が行うもの 利害関係のない、まさに第三者的な中立で公平な診断という観点に立てばこれが一番でしょうが、その診断業者の技術レベルを判断するのはかなり難しいと言えます。 診断専門会社とはいえども施工会社に依頼されて行う場合は施工会社の意向がかなり働くのは1(施工会社が行うもの)と同じ事情によります。
また診断専門会社とはいっても調査屋さんに近いところもあります。 これは単に配管の肉厚を測ってくれるとか、内視鏡の観察をして写真撮影をしていくらといった、木を見て森を見ない業者です。
空調にしろ衛生設備にしろ竣工後20年も経つと、既存システムのまま改修というのは少ないです。
そうした中で、既存のシステムとその他のシステムでの比較検討までやってくれる、あるいはそこまで見越した調査をやってくれる業者は 施主側にとっても頼りがいのある業者でしょう。
ー ではどうしたらいいの?
■ 診断項目に基づく共通仕様で見積もりをとる
建物オーナーや管理組合が調査診断をどこかに依頼しようとするときに望むことは、
- 公正な立場をとってくれること
- 診断の内容、診断項目、数量、それらの根拠を示してくれること
- 工事実施に際し客観的な調査報告資料を提供してくれること
などが挙げられます。
この様な条件を備えた機関・会社ならば、安心して調査診断を任せられます。
一般的には、建物オーナー、オーナー企業、管理組合が修繕計画を実施するときには1社または数社の調査会社ないしは施行会社に 見積を依頼しますが、それぞれ独自の計測、診断、仕様に基づいて見積金額を提示してくるのが実状です。 その結果、提示された金額に著しい差異が生じるケースが多く、発注者側にとっては見積の比較検討がきわめて困難になってしまいます。
よくあるのは、診断の後の更新工事を受注するため診断費用はタダというところもあります。 診断費用が100万円に対し、更新工事が3,000万円でしたら十分に採算に合いますし、 診断時にあれもこれも悪いとすれば付帯工事が発生してきますので、かなり“おいしい物件”となります。
そこで、業者の実績・技術力・報告書例などを見せてもらい、聞き取りをすることで、素人にもかなり判断材料ができ、業者選定能力がつくことになります。
ー その後は??
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( 2 ) 診断報告書 |
建物や設備の調査診断をした「報告書」には、現状把握に加えて、いつ・どのような手入れが必要か?といった所見が盛り込まれています。
オーナー(所有者)としては、これら報告書類を当面修繕の必要がない場合には長期修繕計画をたてる資料として使います。
また、部分的にでも早急の修繕が必要という診断結果報告の場合には、共通の仕様として複数の工事業者に示し見積をとり、工事発注先を選定する材料として活用することになります。
調査会社としては、ここに最も力を入れる部分です。
というのも、問題をあぶり出し、それらの解決策を提案することが必要だからです。
■ 評価はいかに立派な報告書を出すかにかかっています。
立派な報告書の定義は各社様々で、分厚いのが立派、データや計算式、評価チャートにマトリックスを使って各項目の劣化度に点数を付けて・・・というのが立派というところもあります。
当社ではこう考えます。
- 誰にでも分かる報告書
- はじめの1、2ページで全体が分かる報告書
- 読まずに見ても分かる報告書
極力 専門用語を避け、結果を総合所見にまとめ、はじめの1ページに総評を記述します。
各機器・配管の調査記録は各調査票に劣化度をグラフ化し、写真に解説を付け、見ただけで全体の劣化度が分かる工夫をしています。
あとはもう問い合わせをするしかありません。
しかしその前に、一般的に使われる各診断要素技術を知っておくことも大事です。
というのも、「X線」「内視鏡」と言われて、ハテナ?では話にならないか、相手に言いくるめられるのがオチですから。
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( 3 ) 診断方法 |
診断技術としては多くの種類がありますが、当社では以下の設備を様々な方法、技術で調査します。 半日から1日かけて、主に外観、写真撮影を行う予備診断からあります。 (見積のための予備調査ではありません。ちなみに、見積は電話でいくつかの質問に答えていただければ作成できます)
その中から必要だと思われる機器、項目に絞って1次診断・2次診断を行いますが、空調設備では機器の劣化度のみならず、 空調の機能として建物用途にあっているか、個別化、分散化、業務時間の多様化に対応できているか等も調査します。
■ 1次診断:
機器、配管、ダクトの目視外観調査、機器内部調査、銘板調査を主に行う(一部予備診断と重複します)
■ 2次診断:
配管の肉厚測定調査、サンプリング(抜管)調査、内視鏡観察、X線撮影、空調設備は能力調査、環境調査
■ その他:
設備の事故・漏水記録、保守・管理記録調査、問診調査
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( 4 ) どんな項目を診断してくれるの? |
調査対象となるのは建物設備で、詳細は以下のようなものです。
空調・換気設備 |
熱源機器 |
ボイラ、ターボ冷凍機、冷温水発生機、ヒートポンプ、ヒートポンプチラーなど |
熱源補機 |
冷却塔、循環ポンプ、オイルタンク、熱交換器など |
2次側機器 |
空調機、パッケージ型空調機、ファンコイル、ヒートポンプエアコンなど |
配管設備 |
冷水、温水、冷却水、蒸気、還水、ドレン配管など |
換気設備 |
送風機、全熱交換器、厨房排気設備、天井扇、圧力扇など |
風道設備 |
給気・還気・排気ダクト、換気ダクト、厨房レンジフード、ダンパー類など |
衛生機器設備 |
衛生機器 |
受水槽、高架水槽、揚水ポンプ、加圧給水ポンプ、給湯設備、ボイラなど |
配管設備 |
給水、給湯、雑排水、汚水排水、通気配管など |
衛生陶器 |
大・小・和・洋便器、手洗い洗面器など |
消火栓設備 |
機器、配管 |
消火栓設備、消火栓管、消火栓ポンプ |
電気設備 |
機器、ケーブル |
キュービクル、配電盤、各種ブレーカー、電源ケーブル、絶縁抵抗測定など |
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もう少し詳しく知りたい方は、配管二次調査のページをご覧ください。
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電子書類(PDFデータ)をダウンロードできます。
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